「野菜の皮付近にファイトケミカルが濃縮している」 このことは最近はテレビでもよく聞くようになり、だんだん常識になりつつあり、近年は小さな学校給食で皮をむかないところもぽつぽつと増えてきました。
ところが
今まで通り皮をむかせようとする自治体もあるんです。
例1 F市 保育園で出されたみそ汁。具を見ると「麩」が浮かんでました。懐かしいなあと思いながら食べてみたら・・
なんと!!
・・
「ナス」だったんです。
皮を完全にむいたため、麩と見間違えたのでした。
「なんで、アントシアニンいっぱいの紫色の皮を完璧にむいてしまうの?」って聞いたら、 「市からの指示なので・・」 この市では軽い食中毒が発生したため、加熱殺菌すれば済むのに、ねんのために誰が触ったかもしれない皮をむくようにしたそうです。
心の声 「それが理由なら、どうしてピーマンの皮はむかないの?」 「キュウリの皮も、イチゴの皮もむけばいいのに・・そうしたらもっと免疫力が低下して、食中毒が発生するのに・・」
例2 S市 私の講演を聴いた何校かの給食調理員。 講演後の質疑応答でこんな質問。 「上の者から皮をむくように言われています。どうしたらいいのでしょうか?」 私の答え 「そうですよね。自分の家では、我が子に栄養のある皮も食べさせてね。でも給食は他人の子だからどうでもいいじゃないですか。何も文句言わずに言われたとおりにしたらいいと思いますよ」
そう言われたら、本当に子どものことを考えている調理員は、自分で考えるようになります。
煮たら殺菌できるのですから、子どもたちの健康のために、早速、加熱調理する人参大根などは皮をむかないように! 「ちょっとウサギさんがかわいそうだけど・・」って言いながら・・
同じ市の小学4年生のクラスの給食時間。 配膳されたスープの中の人参片に皮が付いていることを発見した児童が、 「先生!今日のニンジン、皮が付いてる!!」 と喜んで報告! 感動した先生は、早速私に電話してきました。
この子たちは、授業で生ごみから菌ちゃんいっぱいの土を作り野菜を育てる体験をしていたのです。だから、たぶん給食の時に毎日食べものさんをしっかり見つめていて、野菜の皮をむいてしまっていることに心が少し痛んでいたのでしょうね。 ちいちゃくなった人参なのに、皮が付いていることをしっかり発見して喜んだ子どもの優しさに、電話口で喜び合いました。
ところが・・
数日後、学校教育課の担当者から各学校に電話で指示。 「給食調理員は異動があり、異動のたびに皮ごとになったり皮なしになったりするのは不都合だから、全校皮はむいて下さい」 たぶん別の学校の調理員がわざわざ上の者に問い合わせたのでしょうね。
例3 ○市 保育園で、ミネラル補強に煮干し粉末を入れ、皮ごと給食を開始。 そうすると当然ですが病欠も減り、落ち着きが変わって、その成果を発表することになりました。
ところがその原稿を読んだ担当課より電話。 「これまで皮をむかなかったことは試験的にやったこととして、今日からの給食は毎日皮をむいて下さい」
「ガーン・・・・」 落胆したけど、 起死回生策を思いつきました。
それは・・
命令に従い、皮をむくようにしましたが、 そのむいた皮を30分煮て、ファイトケミカルたっぷりの野菜だしを作り、それを料理に入れるようにしました。
なんか、一休さんのとんち話みたい。
補足・・汚い皮や傷口の皮は使わないで下さい。より高分子のファイトケミカルを作っている可能性があり、消化しにくい場合があります。旬の野菜のきれいな皮だけ使って下さい。 農薬の心配は無意味です。心配ならキュウリやピーマンの皮、シソの葉など、農薬散布量が多い夏場に、直接農薬を付けている皮を避けるべきでしょう。 また、煮出すことで野菜の細胞壁が壊れるので、煮汁ごと食べるなら、栄養素の吸収率が数倍から数十倍に高まります。
あたらしく始めるときは、得てしてこんなことが起きるのは当たり前。これが変革のエネルギーに皮ります。 より健康な子ども、生きる力の強い子どもが育つことはたくさんのデータが実証していますから、必ず皮ります!
そしてとうとう、13000食を作る、西日本一の給食センターが実践を始めたのです。
(次回に続く)